梅雨にも役に立つ!? 防水や撥水にまつわるアレコレ

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梅雨がやってきましたね。毎年この季節になると「防水」や「撥水」などの機能を持ったアイテムが、いつもに増して目に付くようになります。昨今はそれらの機能性を謳った製品も沢山ありますので、ひとえに防水や撥水といっても、何を選べばよいのか。。。そこで今回は、防水や撥水にまつわる規格の話や、防水テクノロジーなどの話をざっくばらんにご紹介いたします。雨対策アイテムを選ぶ際のお手伝いになればと思いますので、ぜひご覧ください。

IP〇〇ってなに?

防水や耐水機能を持った製品に「IP 〇〇」という記載をよく見かけますよね。「IPX4」だったり「IP67」だったり。これは「IP(=International Protection)コード」と呼ばれ、国際電気標準会議(IEC)の規格において規定されている防水性能および防塵性能を表す規格です。日本の工業規格においても採用されているため、国内においても防水性能を見極めるための代表的な判断基準となっています。

防水性能と防塵性能の両性能を示しているのですが、「IP」に続く二桁の数字の1つ目が防塵性能(0~6)、2つ目が防水性能(0~8)を表す数値です。ちなみに「X」となっている場合は、何らかの理由により省略されていることを表しています。私たちの身の回りのグッズについては「IPX4」や「IPX7」など防塵に関する数値が省略してあるものも多いですよね。

このそれぞれの数字は「第一特性数字」「第二特性数字」と呼称されています。またこの数字以外にも、末尾に「付加文字」や「補助文字」と呼ばれるアルファベットが記載されていることがあるそうです。

また、例えば第一特性文字が「X」で省略されていても、「保護なし」というわけではありません。仮にテストはしていなかったとしても、何らかの防塵に対する保護性能を持っている可能性があります。一般的に防水性能をもっていれば、少なからずある程度の防塵性能も持っていることが多いみたいですね。ちなみに、「0」なんていらないのでは?と僕も思っていた時期もありましたが、「無保護」であるという注意喚起のために必要な表示らしいです。なるほど僕が浅はかでした。

外来固形物に対する保護等級 (第一特性)

保護等級 保護の内容
0

保護されていない

1

直径50mm以上の固形物が中に入らない(握りこぶし程度を想定)

2

直径12.5mm以上の固形物が中に入らない(指程度を想定)

3

直径2.5mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない

4

直径1mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない

5

有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない(防塵形)

6

粉塵が中に入らない(耐塵形)

水の浸入に対する保護等級 (第二特性)

保護等級 保護の内容
0

保護されていない

1

鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴I形)

2

鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴II形)

3

鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防雨形)

4

あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない(防まつ形)

5

あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない(防噴流形)

6

あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない(耐水形)

7

一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水することがない(防浸形)

8

継続的に水没しても内部に浸水することがない(水中形)

防水・防塵の数値による内容は上記の通り。
面白いと感じたのは、防水の等級8。「継続的に水没しても内部に浸水することがない」とありますが、テスト内容は「 等級7より厳しい条件下で継続的に水中に沈めても有害な影響を受けない。」となっているようです。この「7より厳しい条件」というのが、関係者による取り決めらしく、それぞれメーカー独自の条件となることが多い。つまり同じ「等級8」でも製品によっては実施したテスト内容が異なり、性能にも差がある可能性があるということみたいです。ちなみに「等級7」のテストは「水深1mに30分の浸水状態」という内容なので、「等級8」は、それ以上の性能であることを示します。そのため、中には「IPX8、2m」と対応する水深まで記載している製品もあります。

ex.1 NEXTORCHのフラッシュライト

KINRYUオンラインストアで扱っている商品の中で、IPコード表示を採用しているアイテムは圧倒的にフラッシュライトが多いです。プロフェッショナルのためのフラッシュライトを手掛ける「Nextorch」の製品においても、あらゆる現場で利用できるスペックを示すためにもIPコードの内容は重要な数値となっています。

一般的に雨天での使用に耐えるレベルとしてはIPX4以上が必要とのこと。(雨の程度によって異なる) 製品の用途に見合う防水性能を確認しておくと良いかもしれませんね。いずれにしてもNEXTORCHのフラシュライトは、防水性能についてIPコードの明記がありますので、ぜひご参照の上ご検討くださいませ。

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ex.2 RunOff Waterproof Packing Cube

主に電子機器に対して表示されることの多いIPコードですが、ケースや鞄、ポーチなどのスペックとしても、見かけることがあります。例えばこのNITE IZEの「Run Off Waterproof」シリーズも、その一つ。「IP67」もの高水準の防水防塵性を持っています。砂・砂利の目立つ海や川などのレジャーでも利用したいアイテムですので、第一次特性である防塵性能まで表記があるのは頼もしいですね。

「Run Off Waterproof」シリーズの優れた防水性能の秘密は「TRUファスナー」。この最新の防水ファスナーが重要な役割を果たしており、ロールアップなどの補助を必要とせず、ファスナーのみで開口部へ水が入り込むのを防いでいます。野暮ったさのないシンプルな見た目も良いです。

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水に強いコーティングの話

次に、撥水や防水コーティングにまつわるお話を少し。鞄などのキャリーギアや、あるいはウェア類など布製品は、素材に撥水性能や防水性能を持たせることで、悪天候などの濡れに強いアイテムを開発します。ではどのような方法で、それらの機能性を布に付与するのでしょうか。今回は代表的な撥水・防水加工についてピックアップしてご紹介します。

ex.1 テフロンコーティング 「MAGFORCE」

「テフロンコーティング」は、テフロン(フッ素樹脂)による表面処理(撥水加工)のことです。調理器具でも良く耳にしますね。フッ素樹脂の持つ特性を利用したコーティングなのですが、繊維加工に用いられる場合は、特に「撥水性」や「防汚性」を目的とした機能付与となります。テフロンコーティングには軽量な加工であることに加え、素材の柔軟性や通気性を損なうことなく施すことができるという大きな利点を持っています。そのため鞄だけでなくウェア類へも利用されることが多い技術です。 

フッ素樹脂は、紫外線や可視光線、湿気などの影響を受けないため、野外に強い(耐候性に優れている)と言われています。この特徴もアウトドアギアなどで利用される理由の1つなのでしょう。アウトドアシーンでも活躍するミリタリーギアとして人気のMagforceの製品の大半にも、このテフロンコーティングが施されています。

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ex.2 ターポリン 「PDW」

ターポリンとは、布に両面をPVC(塩化ビニル樹脂)で加工した生地のことです。防汚性・耐水性・耐候性に優れており、高い強度をもった素材。そのため、横断幕やテント幕、野外用の鞄などでも利用されています。

PDWのターポリン生地を利用したキャリーギアシリーズもオススメ。水にめっぽう強いターポリンですが、重くなりがちというデメリットがあります。また透湿性も全く期待できないため、例えばジャケットなどのウェアには利用しにくい素材です。反対に考えるならば多少重くても優れた強度が必要で透湿性もいらないというアイテムには、この上なく適した素材。まさに、このPDWのキャリーギアの様に野外活動でガシガシ使いたいアイテムにピッタリです。

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「水は通さないけど湿気は発散する」の謎

高機能ウェアなどで見かける「透湿防水」素材。湿気は排出するけど、雨など水の侵入は許さないというは夢のような話ですよね。代表的な素材だとゴアテックスも「透湿防水」ですね。しかし雨も湿気も同じ水分なのに、なぜ一方は通過し一方は通過しないなんて不思議なことが起こるのでしょうか。調べてみまました。ちなみに今回は表面加工ではなく「透湿防水膜」についての話です。

調べてみると、どうやらポイントは「気体」と「液体」それぞれの大きさにあるようです。凄く簡潔に説明してしまうと「気体サイズは通すけど液体サイズは通さない」ということ。

水蒸気は分子が自由に動き回っている状態です。対して水滴などの液体は分子が集まっている状態です。そのため3Å=0.0003μmほどの大きさである水分子に対しに水滴は100μm以上の大きさとなります。この水蒸気と液体の大きさの差を利用。水蒸気より大きく水滴より小さい穴の開いた面を備えているのが「防水透湿膜」の正体なのです。通常は、この「防水透湿膜」と撥水生地などを組み合わせてレイヤー構造(3層など)にすることで、高機能な素材として利用されていることが多いです。

(上の画像は、こんな感じかなと表現したモノです。あくまでイメージとしてご覧下さい。)

ex. ZERO Waterproof Socks

そんな透湿防水テクノロジーを利用した防水ソックスがこちら。「V-tex」というハイテク素材を用いた高機能な防水靴下です。

「V-tex」も、3層構造を成すことで、優れた透湿防水性能を発揮する高機能素材です。さらに柔軟性も備えた透湿防水素材であることも大きな特徴です。多少のハリはありますが、通常の靴下と同じ感覚でご利用頂けます。

↑の写真は靴下を裏返して水を注ぎ、漏れがないかをテストしてみた時の様子。柔軟かつ伸縮性があるため水風船のように膨らみますが、水は漏れることがありません。

通常の靴下と同じように使用できる防水ソックス。雨の多い梅雨時期の通勤用など普段からも利用でき、もちろんアウトドアレジャーにもお勧め。もしよろしければ、まずは一足いかがでしょうか。

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最後に

昨今は防水や撥水アイテムも、だいぶ身近なものになったなと感じますが、いざ詳細を調べていくと奥が深く、様々な工夫や技術が用いられていることに感動すら覚えます。皆様も今年の梅雨は防水や撥水アイテムを利用してみてはいかがでしょうか?もしかしたら、雨の日が快適になるだけでなく、少し楽しく感じるかもしれません。